2014.05.11更新

熊谷寺

        阿弥陀如来

        圓光大師

和歌山県の北部に位置する高野山。弘仁7年(816年)、 弘法大師空海が真言密教の修行の場を開いて以来、日本仏教の聖地のひとつとなっています。出家して蓮生法師と名乗った熊谷直実に縁あるお寺、高野山熊谷寺もそこに建っています。
 「蓮生法師は平敦盛の7回忌の法要を行いたいと思い立ち、師匠である法然上人に相談しました。すると高野山で法要を行うことを勧められてこのお寺を訪れ、奥の院に平敦盛の供養塔を建立したようです。蓮生法師の死後は、息子の直家がこのお寺を改築・修造し、法要を営みました。その話を聞いた時の将軍・源実朝公が、熊谷寺と書いた扁額を下賜しました。それ以後、もともと智識院という名前でしたが、熊谷寺と改称したようです」と、 高野山真言宗・熊谷寺の住職、東伸光さん。
 熊谷寺は蓮生法師にとって父祖の菩提寺でもありました。平敦盛の法要後は、約14年間にわたってこの地にとどまり修行に励んだといわれています。
 「熊谷寺略縁起によりますと、法然上人や親鸞上人、そして時の関白・九条兼実公もこのお寺を訪れ、蓮生法師ともども一堂に会して歌会を催したといわれます。その様子を描いた『歌会の絵巻』は、このお寺に保存されています」