慧日山東福寺の月下門を出たところにある同聚院は、現在25ある東福寺の塔頭の1つで、僧文渓元作がその師である東福寺第129世・琴江令薫を開山に招いて1444(文安元)年に建立された臨済宗の寺院です。
この場所は平安時代、藤原氏の氏寺であった法性寺のあったエリアで、藤原道長卿の40歳の誕生日を祝って1006(寛弘3)年に建てた五大堂があった場所だといわれています。五大堂は、中央に不動明王・東に降三世明王・南に軍荼利明王・西に大威徳明王・北に金剛夜叉明王の5大明王像を安置していた御堂で、他の4仏は散逸してしまって残っていませんが、「火除けの仏さま」と崇敬を集めてきたこの不動明王坐像だけが今に伝わっています。
同聚院は「十万不動」と呼ばれ、毎年2月2日には「十万」と書かれた屋守護符(やさごふ)が授与されるそうです。「十万」というのは、土の力と書いて土地を守護するという意味だという説や、不動明王が常に十万の眷属を従えているから、という説があります。