山号:慈恩山 宗派:曹洞宗
三十三観音第8番:延命聖観世音菩薩
本尊:釈迦牟尼仏 円空仏:なし
正雲寺開山の縁起によると、性海慈船禅師が羽後国(奈良県河辺郡新屋町)天龍寺へご巡錫のおり、その町の旧家太郎左エ門が足しげく禅師を訪問してきました。ある日、観世音菩薩の尊像を奉侍して現れ、「この霊像は先祖より口伝えにては、往昔南朝の忠臣萬里小路藤房卿の念持仏にして、尊き我が家の家宝なれども、昨夜不思議の霊夢にて、この地に観世音菩薩再来の尊き御僧御巡化せられおれば、我すでに当家の化縁熟し終わりたりと。禅師様こそ観世音菩薩の再来なり。何とぞ御念持御供養賜ればこの観世音菩薩の御利益いよいよ験たかにして、有縁の衆生利益を蒙ること疑いなし」と懇願しました。
禅師はその浄心を徳あることと、その願いを受け入れました。その後、飛騨へご巡錫に訪れた際に当山を開創され、この尊像を安置し人々の諸願成就を祈念されました。
明治37年に寺号移転で大本山永平寺の64世を拝請して開山し正雲寺となり、翌明治38年には大本山永平寺の直末となりました。